腕が上がらない、上げると痛いなどの症状は、一般的に四十肩・五十肩と呼ばれていますが、これは医学用語ではありません。 原因によってはリハビリなど動かした方が良い場合と、固定と安静が必要な場合があり、治療法も違いますので注意が必要です。
あなたの症状はどちら?
肩の痛みには大きく分けて2つの症状があります。
1 特に強打したわけでもなく肩が痛くなった(痛みで腕が上がりづらくなった)
= 上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)と
2 ある日突然、痛くなった瞬間があり、それ以降、腕を上げると痛むようになった。
= 肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)に分けられます。
症状その1
肩が少しずつ痛くなった
特に強打したわけでもないのに繰り返しの動作等により少しずつ肩が痛くなった。
または、痛みで腕が上がりづらくなった
→上腕二等筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
上腕二頭筋の腱のひとつである、長頭腱に炎症が起こる病気です。上腕二頭筋長頭腱というのは周囲の筋肉とつながっているため、肩の運動にすべて関係しストレスを受けやすく、炎症も起きやすい部位です。炎症が起きると熱を帯びて周りの組織と癒着して動かしづらくなります。わかりやすく言えば肩の腱鞘炎です。
原因は使いすぎ 回復力の低下
関節液の代謝異常など機能が働いていない場合、また、肩の使いすぎで上腕二頭筋長頭腱の摩擦が強い、摩擦の角度が悪い場合、肩の腱鞘炎が起きます。熱を持ち周辺の筋肉と癒着しますので、さらに摩擦が増えるという悪循環です。
動かしすぎたり、リハビリをやりすぎたりすると、また熱を帯びて炎症を起こすことがありますので、専門医の指導の下で行いましょう。 痛みが出たらすぐに来院することをおすすめします。
症状その2:
ある日突然、肩が痛くなった
重いものを持った、強打した等のきっかけで、ある日突然、痛くなった瞬間がある。それ以降、腕を上げると痛みを生じる。
→肩関節周囲炎
(かたかんせつしゅういえん)
全く腕が上げられない方や、少し痛みを感じる程度の方など、人によって痛みのレベルが違います。ポイントはある瞬間から痛みが出たということです。
原因は関節のずれ
肩関節の亜脱臼が原因で起こるケースが多く、関節の位置がずれたことで痛みが起きています。ほとんどのケースは肩の関節が前方にずれ、後の筋肉が前へ引っ張られている状態です。
小円筋と大円筋が引っ張られ、伸張反射をしている状態です。(伸張反射=伸ばされると戻ろうとする反射のこと)
肩の関節が元に戻らないと、後ろの筋肉がずっと引っ張られ、力が入ったままの状態が続きます。そして、筋肉がそのまま固まってしまい、腕が上がらなくなります。
例えば、子どもを抱っこしている、寒くて前かがみになるなど、前側に力が働いた状態が長い上に、外的な衝撃が最後の引き金になり、肩がずれる=亜脱臼を起こします。また、スポーツで亜脱臼を起こすこともあります。
肩関節周囲炎に
なってしまったら・・・
肩の関節を元に戻し固定することが必要ですから、ある日、突然、肩に痛みが出たという場合、すぐに来院することをおすすめします。
その度合いにもよりますが、肩の関節がずれたときにできるだけ早く元に戻せば、だいだい1週間程度で治ります。長い間放置した場合、関節の位置を戻しても筋肉は固まったままですから、治るまでに時間がかかります。また、専門医にかからず放置した場合は関節がずれたまま筋肉が固まり、腕が上がらなくなります。俗に五十肩と呼ばれているケースです。
なお、筋肉の拘縮に対してはマッサージも効果がありますが、肩関節周囲炎は肩の関節を元の位置に戻すことが先決です。
肩の痛みを予防する方法
肩関節周囲炎は筋肉の使いやすさも関係しています。 前方の胸筋などはわりと使いやすい筋肉で、後の小円筋と大円筋は使いづらい筋肉です。
特に引き金となる衝撃がなくても、筋肉の使い方のバランスの悪さが蓄積され、肩がずれることもあります。年齢と共に、使わない筋肉を鍛えて筋肉のバランスを取ることが必要でしょう。
肩の痛みはストレッチ・運動・リハビリに注意
四十肩、五十肩は肩の疾患の総称であり、状態によっては治療方法が違うので運動やリハビリは注意しましょう。早期に専門医を受診することをおすすめします。肩の痛みは放置せず、なるべく早く治療をすることで治りも早くなります。
肩の痛みは保険適用?
疲労からくるただの肩こりには保険は使えませんが、上記で説明した肩の腱鞘炎や肩の骨がずれて亜脱臼を起こしている場合等はケガに該当しますので保険が適用されます。
これまでずっと痛みを我慢していた方、固まってしまい肩が上がらなくなった方など、多くの患者さんが改善されていますので、ぜひ一度ご来院ください。当院は四十肩・五十肩治療の専門家です。
膠原病(リウマチ)など疾患によって指や肩に関節に亜脱臼などの症状がでるケースもあります。専門医にて膠原病を治療中の方も関節の痛みについては当院でご相談ください。